スポーツ用マウスガードは市販と歯科医院で作るもので何が違う?それぞれのメリット・デメリットを解説
2026/10/20
こんにちは。宇都宮市(雀宮、上三川町)のこうだい歯科です。
ラグビーやボクシング、格闘技といったコンタクトスポーツの多くは、マウスガードの装着が義務づけられています。
また近年では、バスケットボールや野球、サッカーなど直接的な接触が少ない競技でも、歯や顎を守る目的でマウスガードを取り入れるケースが増加しています。
そのような背景から、怪我防止のためにマウスガードの導入を検討されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ怪我防止のためにマウスガードを用意しようと考えた際、スポーツ用品店などで買える市販品で十分なのか、歯科医院で自分専用のものを製作すべきなのか迷われる方も多いかと思います。
今回は、市販品と歯科医院製のカスタムマウスガードの違いと、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
マウスガードの基本知識と役割
マウスガードとは、スポーツ中の衝撃から歯・歯ぐき・顎骨・顎関節を守るために口内に装着するクッション性を備えたプロテクターです。
外部からの衝撃を吸収・分散させることで、歯の破折・脱臼・脱落、口内粘膜の裂傷、顎骨骨折、顎関節への損傷などを予防します。
マウスガードの装着が推奨される競技一覧
義務装着が定められている競技としては、ボクシング・キックボクシング・ラグビー・アメリカンフットボール・アイスホッケーなどが挙げられます。
義務ではないものの、推奨されている競技には以下のものが含まれます。
バスケットボール
サッカー
野球・ソフトボール
ハンドボール
柔道・空手・剣道
スキー・スノーボード
転倒や衝突の可能性があるスポーツ全般において、マウスガードは有効な保護器具と考えられています。
市販マウスガードの種類
市販品には大きく分けて二つのタイプがあります。
ストックタイプ
ストックタイプは、あらかじめ成形された固定形状のマウスガードです。
サイズ展開はあるものの、個人の歯並びや顎の形に合わせる調整機能はなく、そのままの状態で口に入れて使用します。
価格は数百円〜数千円程度と手頃で、スポーツ用品店やインターネット通販で手軽に入手できます。しかし、適合性は低く、装着中に口を閉じ続ける必要があったり、話しにくさや異物感が強かったりします。
ボイルアンドバイトタイプ
ボイルアンドバイトタイプは、熱湯で素材を柔らかくしてから口に入れ、自分の歯でかみ合わせて形を作るタイプです。
価格は1,000円〜5,000円程度となっており、歯の形にある程度適合させることができるため、ストックタイプよりも装着感がよくなります。
ただし、うまく成形できないと歯列に対して均一に密着せず、保護性能が不均一になることがあります。また、繰り返し作り直しができる素材もありますが、回数を重ねるほど素材が劣化する点にも注意が必要です。
市販マウスガードのメリット
市販品のマウスガードには、どのような魅力があるのでしょうか。
すぐに入手できる手軽さと価格帯
市販品のメリットは、スポーツ用品店やドラッグストア、インターネット通販でいつでも購入できる点です。
歯科医院を予約する必要がなく、必要と思ったタイミングで使い始めることができます。旅行先や遠征先でマウスガードを忘れた場合の緊急の代替品としても活用できます。
また、数百円〜数千円という価格帯は、マウスガードを初めて使う方や、一度試してみたい方にとって負担が少ない選択肢です。
成長期における買い替えやすさ
顎の発育や歯の生え替わりが盛んな成長期のお子さんは、口内の状態が短期間で大きく変化します。
そのため、オーダーメイドで作製しても数か月でサイズが合わなくなることがあります。
安価で購入できる市販品であれば、成長による口内の変化に合わせて負担なく定期的に買い替えることができ、サイズ変化に柔軟に対応可能です。また、紛失などにより買い替えが必要になった場合でも、経済的な負担を抑えて新しいものを準備できます。
市販マウスガードのデメリット
手軽さが魅力である一方、市販のマウスガードには適合性や素材の特性によるデメリットがあります。
適合性の低さによるケガのリスクと口内への影響
マウスガードの保護性能は、適合性に左右されます。
歯列に密着していないマウスガードは、衝撃を受けたときに位置がずれたり、外れたりする危険があります。また、適合が悪いと装着中に口呼吸になりやすく、競技パフォーマンスに影響を及ぼすことがあります。
衝撃吸収性能の不均一さと素材の限界
市販マウスガードの多くはエチレン酢酸ビニル(EVA)を主素材としており、軽量で加工しやすい反面、厚みや密度が製品によってばらつきがあります。
衝撃吸収性は素材の厚みと均一性に依存するため、市販品では製品ごとに保護性能にムラが生じやすいことが課題です。
自己成形が必要なマウスガードの場合、強く噛み込みすぎた部分が薄くなり、クッション性を十分に発揮できないケースもあります。
自己成形の失敗リスクと耐久性の低さ
ボイルアンドバイトタイプを自身で成形する場合、温度管理と噛み合わせの位置調整が必要です。
失敗すると歯列に合わないまま固まり、保護作用が得られないばかりか、特定の歯に負荷がかかる恐れがあります。また、市販品の中には変形や劣化が進みやすいものもあります。
歯科医院製カスタムマウスガードの製作の流れと使用素材
歯科医院でカスタムマウスガードを製作する場合、採取した患者さんの歯型から石膏模型を製作し、その模型上で専用のプレス機を用いて個人の歯列に合ったマウスガードを作成します。
完成したマウスガードは歯科医院で試適・調整が行われ、適合感と噛み合わせが確認されてから引き渡されます。
使用される素材は医療用グレードのエチレン酢酸ビニル(EVA)などが中心です。
厚みは競技の特性や希望に応じて3mm・4mm・5mmなどから選択でき、前歯部・臼歯部で厚みを変えたラミネート構造にするなど、細かい設計が可能です。
歯科医院製カスタムマウスガードのメリット
カスタムマウスガードの場合、保護性能や装着感にこだわった設計が可能です。
優れた衝撃吸収性と保護性能
カスタムマウスガードは個人の歯並びに合わせて作製されるため、高いフィット感が得られます。
十分な厚みとすぐれた密着性により、衝撃を和らげて歯の破折やあごの骨折、関節への負担を軽減することが可能です。
競技パフォーマンスの維持・向上
フィット感が高いため会話や呼吸の妨げになりにくく、装着時の違和感を抑えられます。
口内の違和感が少ないことで競技に意識を向けやすくなり、プレーに没頭しやすい状態をサポートします。
高い耐久性と長期的なコストパフォーマンス
安定した品質の素材と均一な厚みで製作されるため、市販品に比べて劣化しにくく、安定した適合と保護性能を維持しやすくなります。
きちんと管理をしていれば1〜2年程度は使用できることが多く、買い替えの手間や怪我をした際の治療費まで考えると、長期的な費用対効果に優れています。
歯科医院製カスタムマウスガードのデメリット
高い性能を持つカスタムマウスガードですが、作製にあたっては事前に理解しておいたほうがいいこともあります。
費用と製作期間
歯科医院でのカスタムマウスガードの製作は、歯型採取・模型製作・プレス成形・調整という工程を伴うため、一般的に5,000円〜20,000円程度の費用がかかります。
また、自由診療となるため、医療機関によって費用設定が異なる点も頭に入れておく必要があります。
歯型採取から完成までの期間は、一般的には1〜2週間程度です。
試合や大会で使用したいという場合には、スケジュールに余裕を持って受診する必要があります。
通院の手間と破損・紛失時の即日対応不可
マウスガード製作のために、少なくとも2回は歯科医院の受診(型採りと受け渡し・調整)が必要です。
また、万が一紛失したり破損したりした場合、即日で同じものを用意することができません。再製作には再び期間と費用がかかるため、予備のマウスガードを用意しておくなどのリスク管理が求められます。
成長期のお子さんにおける再製作の頻度
お子さんの場合、顎の成長や永久歯への生え替わりが盛んなため、半年〜1年程度でサイズが合わなくなることがあります。
その都度作り直す必要があるため、費用負担についてあらかじめ考慮しておくことが大切です。
どちらを選ぶべきか?目的・年齢・リスク別の選択基準
市販品と歯科医院で制作するカスタムマウスガードのどちらが自分に合っているのでしょうか。
競技レベルとコンタクトリスクによる判断
選手として本格的に競技に取り組んでいる方や接触の激しいコンタクトスポーツをしている方は、歯科医院で作製するカスタムマウスガードが適しています。
怪我のリスクを抑え、怪我を防ぎつつプレーに集中するには、一人ひとりに合わせた精度が欠かせません。
一方、手軽に楽しむスポーツや始めたばかりの時期であれば、まずは市販品で感覚を試し、本格的に続けるタイミングでカスタム品を検討する方法もあります。
年齢と顎の成長段階による判断
あごの骨の成長や永久歯への生え変わりが完了している大人の方であれば、フィット感や耐久性に優れたカスタムマウスガードを選ぶ価値があります。
一方、成長期のお子さんの場合は、お口の変化や費用のバランスを考えながら、歯科医師と相談して選ぶといいでしょう。
矯正治療中・かぶせ物・顎関節症など口内の課題がある場合
歯列矯正中の方、歯にかぶせ物やブリッジがある方、顎関節症の既往がある方は、市販品での対応が難しいため、歯科医院でカスタムマウスガードの製作を行ってください。
市販品を無理に使用すると、矯正装置の破損や、かぶせ物の脱落、顎関節への偏った負荷の原因となります。
まとめ
市販マウスガードは手軽さと低コストが魅力ですが、適合性・保護性能・耐久性の面では歯科医院製のカスタムマウスガードに劣ります。
歯科医院製は費用と通院の手間がかかるものの、個人の歯列に密着した高い保護性能と、呼吸や会話を妨げない快適性が魅力です。
競技の性質や接触リスク、年齢、口内の状態を総合的に考慮し、ご自身に合ったマウスガードを選択しましょう。
判断に迷う場合は、お近くの歯科医院へ気兼ねなくご相談ください。

