歯並び悪化の原因「舌癖」は自分で治せる?正しい位置やトレーニング法について
2024/08/04
こんにちは。宇都宮市(雀宮、上三川町)のこうだい歯科です。
「年々歯並びが悪くなっている気がする」
「気が付くと口が開いている」
そんなお悩みがある方は、舌癖があるかもしれません。
今回は、歯並び悪化や口呼吸、滑舌などに影響を与える舌癖について解説します。
舌癖とは
舌癖とは、意識することなく行っている、舌の癖のことです。
本来、口を閉じている際には、舌は前歯の根元の歯ぐきのふくらみ部分に置かれています。
このふくらみ部分のことを「スポット」と呼び、スポットに舌がある場合は舌を正しく使えています。
そうではなく舌が前歯に触れてしまっている場合や、下あごに置かれている場合などが「舌癖がある」といわれる状態であり、舌癖はさまざまな悪影響を及ぼします。
舌癖の種類
舌癖にはいくつかの種類があります。代表的な舌癖は、無意識に「舌で前歯を押し出してしまう」というものです。
上の前歯を押す癖、下の前歯を押す癖、上下両方の歯を押す癖などがあります。
また、上下の歯の間から舌を出してしまう癖や、舌を歯でかむ癖なども挙げられます。
舌癖の原因
指しゃぶり
乳児期の指しゃぶりであれば問題はありませんが、4、5歳を超えても指しゃぶりをしている場合は舌癖の原因になります。
指を差し込んでいることで上下の歯の間にすき間が開いてしまったり、前歯が傾いてしまったりし、空いた歯のすき間に舌を差し込むことが癖になってしまいます。
口呼吸
口呼吸をする際は、空気を通しやすくするために舌を下あごの位置に置きます。
これを「低位舌」と呼び、この低位舌が癖になってしまうと、ものを飲み込む際に舌を前に押し出す癖がついてしまいます。
また、口呼吸により口がぽかんと空いている状態は、口周りの筋肉の発達を妨げます。
それにより、筋力が弱くなることも、舌癖を生み出す原因です。
アレルギー性鼻炎や花粉症など、慢性的な鼻づまりに悩まされている方は口呼吸が癖になりやすく、それに伴い舌癖にもなりやすいという特徴があります。
幼少期からの癖
指しゃぶりや口呼吸をしていなくても、知らず知らずのうちに間違った舌の使い方をしている場合があります。
舌を前に押し出してしまう「舌突出癖」、舌の先が下の前歯の裏側にあたっている「低位舌」、ものを飲み込む際に舌が前に出てきてしまう「異常嚥下癖」などが代表的です。
特に子どもの頃は、このような癖に自分で気づくことは難しく、大人になってから気づいた場合には長年の習慣になってしまっているために直すのに時間がかかってしまいます。
舌小帯の短さ
舌の裏側と下あごの間にあるヒダのことを、舌小帯と呼びます。
この舌小帯が短いと、思ったように舌を動かすことができずに、低位舌になることがあります。
また、舌の動きが制限されるため、滑舌にも悪影響があります。
虫歯などによる乳歯の抜歯
子どもの頃に重度の虫歯やけがなどで歯を失い、その後永久歯が生えてくるまでの期間が空いていると、歯がない部分が気になり、無意識に舌で触ってしまうことがあります。
それにより、歯を舌で触る癖ができ、歯並び悪化の原因になることがあります。
舌癖がある人の特徴
舌癖がある方には、以下のような特徴があります。
- 気が付くと口が開いている
- 口の中が乾燥している
- 歯で舌をかむ癖がある
- 口を閉じているときに、舌の先が前歯や唇に触れている
- 食事中にくちゃくちゃと音をたてがちである
- 食べ物や飲み物が口からこぼれることがよくある
- 食事中に、口の中にある食べ物が見える
- 迎え舌をしてしまう
- 一度に大量の食べ物を口の中に入れる
- 口を閉じているときに、下あごに縦じわが入る
- うつぶせ寝、もしくは横向きで寝ている
- いびきをかく
- 口角が下がっている
- 滑舌(特にサ行やラ行)が悪い
また、鏡を見て確認する方法もあります。
その場合は、鏡の前で、唇を開き、歯は上下をかんだ状態で、つばを飲み込んでみてください。
その際に、歯と歯の間から舌が見えたり、舌が歯にあたるような感触があったりする場合は、舌を前に押し出す癖がある可能性が高いといえます。
舌癖による悪影響
舌癖は、歯並びを悪化させます。
具体的には、上下の前歯の間にすき間が開いてしまう「開咬」、上の前歯が前方に押し出される「出っ歯(上顎前突)」、下の前歯が前方に押し出される「受け口(下顎前突)」などになるリスクを高めます。
また、滑舌の悪さや口元のたるみ、食べ物の飲み込みにくさにもつながります。
さらに、舌癖により口が開いてしまう方の場合は、口内が乾燥することで虫歯や歯周病になりやすくなったり、細菌が入ってきやすい状態になることで風邪やインフルエンザにかかりやすくなったりもします。
自分でできる舌癖改善のためのトレーニング
舌癖を改善するためには、まずは自分に舌癖があることを自覚し、正しい舌の位置・使い方を覚えることが重要です。
意識的にスポットポジションに舌を置くようにしましょう。
また、舌の筋力を鍛えるために、舌のトレーニングをするのもおすすめです。
口を大きく開け、舌の先で唇をなぞるトレーニングや、口を閉じた状態で唇の裏側を舌の先で円を描くようになぞるトレーニング、ガムを口の中で丸めたり伸ばしたりするのを繰り返すトレーニングなどがあります。
ガムを使ったトレーニングを行う場合には、虫歯や歯周病を防ぐために、ぜひキシリトール入りで無糖のガムを使ってください。
歯科医院で行う舌癖改善のための治療
舌癖は長年の習慣となっていることが多いため、セルフトレーニングだけでは改善が難しい場合が多々あります。
そのような場合は、歯科医院でトレーニングを受けることを検討してみてください。
歯科医院で受けるトレーニングはMFT(口腔筋機能療法)と呼ばれるものです。
前述した自分でもできるトレーニングのほか、歯科医師や歯科衛生士が患者さん一人ひとりの癖に合わせたトレーニングを行います。
また、舌癖が強くトレーニングだけでは改善が難しい場合や、すでに歯並びに影響が出ている場合には、矯正治療を選択することもあります。
舌を前に押し出さないようにする装置や、舌を正しい位置に誘導する装置もあり、これらを使うことで歯並びと舌癖の改善を同時に進めることができます。
まとめ
舌癖は、意識して直そうとすることが重要です。
舌癖改善のためのトレーニングは、口周りの筋力アップやたるみ改善にもつながりますので、美容のためにも習慣化してみてはいかがでしょうか。
また、お子さんに舌癖がある場合は、できるだけ早めに取り除くことが将来のお口の健康のために大切です。
気になるしぐさや癖がある場合には、ぜひ歯科医院にご相談ください。