舌を噛む癖が歯並びに与える影響を解説
2026/02/20
こんにちは。宇都宮市(雀宮、上三川町)のこうだい歯科です。
食事中や会話中に舌を噛んでしまい、痛い思いをした経験は誰にでもあるかと思います。
しかし、もしそれが頻繁に起こる場合や、舌を噛んでいる状態が癖になっている場合には、口内に何らかの問題が潜んでいる可能性があります。
今回は、舌を噛む主な原因や、それが歯並びに与える影響、対策について解説します。
舌を噛む主な原因
歯並びの悪さ
舌を噛む代表的な原因の一つが、歯並びの乱れです。
歯が正しい位置に並んでいない場合、舌が収まるべきスペースが狭くなったり、歯の先端が舌の方向に向いたりすることで、舌を噛みやすくなります。
特に、歯が重なり合って生えている叢生や、上下の歯の噛み合わせが横にずれている状態の交叉咬合では、舌が歯に接触しやすくなります。
また、上顎前突(出っ歯)や下顎前突(受け口)なども、舌の位置が崩れる原因です。
これらの不正咬合では、舌が正しい位置にないことで、咀嚼や嚥下の際に歯に挟まれやすくなります。
歯ぎしり・食いしばり
夜間の歯ぎしりや日中の無意識な食いしばりも、舌を噛む原因です。
歯の位置の変化や、尖った歯の先端に舌が入り込みやすくなることで、歯と舌との接触機会が増え、舌を噛みやすくなります。
ストレスや緊張状態が続くと、これらの習癖が悪化する傾向があるため、心理的要因もリスクとなります。
口内炎などの口内トラブル
口内炎やそのほかの口腔内疾患も、舌を噛む原因の一つです。口内炎ができると、痛みを避けようとして舌の位置や動きが変化します。
この不自然な舌の動きにより、普段とは異なる場所で歯と接触し、舌を噛んでしまうことがあります。
さらに、口内炎による炎症で舌が腫れると、口腔内のスペースが狭くなり、歯との接触がより頻繁になります。
一度変化した舌の動きのパターンが癖として残ってしまい、口内炎の有無にかかわらず舌を噛んでしまう習慣が続くこともあります。
舌の筋力低下
舌を正しくスムーズに動かすには、筋力が必要です。
筋力が低下すると、咀嚼や嚥下の際に舌がうまく動かず、歯と接触しやすくなります。
特に高齢者は、全身の筋力低下とともに舌の筋力も衰えることから、舌を噛むリスクが高まります。
ストレス・疲労
舌を噛むリスクは、心理的ストレスや疲労によっても高まります。
ストレスがあると無意識に口の周りの筋肉が緊張し、舌の動きが制御しにくくなります。
また、集中力や注意力が低下すると、舌の位置を自然に調整できず、歯との接触が増えます。
長時間のデスクワークや精神的プレッシャー、睡眠不足も同様に影響します。
舌を頻繁に噛むことのリスク
痛みや炎症の悪化・継続リスク
舌を頻繁に噛むと、傷が治る前に再び損傷を受けることになり、慢性的な炎症が続きます。
舌の表面には潰瘍や白い斑点ができ、食事や会話時に痛みが残るようになります。また、慢性的な刺激は舌の組織を硬くしたり、感覚を鈍くしたりする原因にもなります。
さらに、傷口からの細菌感染リスクも高まります。
口腔内には多くの細菌が存在するため、開放創は常に感染の危険にさらされます。
感染が起こると炎症が悪化し、治癒が遅れるだけでなく、場合によっては抗生物質による治療が必要になることもあります。
歯並び悪化のリスク
舌を頻繁に噛む癖は、舌や周囲の筋肉、歯に余分な力がかかる原因になります。
この力が長期間続くと、歯が少しずつ押されて歯並びが乱れるリスクがあります。
特に前歯には影響が出やすく、出っ歯や開咬になりやすくなります。
そのほかの舌癖
舌を噛む以外にも、さまざまな舌癖が歯並びや口腔機能に影響を与えます。
例えば、咀嚼や発音の際に舌を前方へ押し出す癖があると、上下の前歯が前に傾きやすくなります。特に成長期の子どもはこうした力の影響を受けやすく、開咬や上顎前突の原因になります。
また、舌を正しい位置に置けないことで発音にも影響が及び、サ行やタ行の音がはっきりしにくくなることもあります。
さらに、舌で歯を押したりなぞったりする癖は、持続的な圧力によって歯が動いたり、すきっ歯が生じたりするリスクになります。
舌打ちを頻繁に行う習慣も、舌と歯の接触を増やし、舌を噛みやすくします。
加えて、舌小帯短縮症などの先天的な要因がある場合は、舌の動きを補おうとして代償的な舌癖が生じやすくなります。
舌を噛まないためにできること
舌の筋力トレーニング
舌の筋力を高めることで、舌の位置を安定させ、舌を噛むリスクを減らせます。
基本的なトレーニングとして、舌を上顎に押し付けて10秒間維持する運動を、1日に数回行う方法があります。
舌先で上の前歯の裏側を押しながらゆっくり口を開閉したり、舌を左右に伸ばしたり、舌で唇をなめる動作なども、毎日継続することで変化が見込めます。
MFT(口腔筋機能療法)
MFTは、舌だけでなく唇や頬など口周りの筋肉を含めた機能を改善するトレーニング療法です。
歯科医師や歯科衛生士の指導のもと、個人の状態に合わせたプログラムが提供されます。
この療法では、舌先を上顎の前歯の根元付近に軽く置く正しい位置の習得や、日常生活での維持、正しい嚥下パターンや呼吸方法の訓練を行い、口腔機能全体の改善を目指します。
治療期間は個人差がありますが、通常6か月から1年程度の継続が必要です。
生活習慣の改善
舌を噛む癖を改善するには、日常の習慣の見直しが重要です。食事はゆっくり噛み、急いで食べることは避けましょう。
硬めの食材を適度に取り入れると、口周りの筋肉の機能維持に役立ちます。
ストレス管理も大切です。適度な運動や十分な睡眠、趣味の時間をつくることなどにより、精神的ストレスを減らすようにしましょう。
また、あごの力を抜くよう心がけ、歯ぎしりや食いしばりを意識的に避けることも大切です。
口呼吸の習慣がある場合は、鼻呼吸への移行を助けるテープの使用なども検討してみてください。
まとめ
舌を噛む癖は、歯並びの悪化や口腔機能の低下を招く恐れがあります。
改善のためには、舌の筋力トレーニングやMFT、生活習慣の見直しなど、総合的なアプローチが必要です。
症状が頻繁に見られる場合は、早めに歯科医師に相談するようにしましょう。

